初心者向け9月上旬の立山登山情報まとめ(東京からの交通手段・費用・宿・現地の様子など)

2023年10月16日

9月の初旬、立山(具体的には雄山)を登ってきました。

立山は、小学生でも登れる初心者向けの山だと聞いていましたが、実際に登ってみるとその通りで、関東周辺の低山に何度か登ったぐらいの経験しかない登山初心者の僕でも無事登ることができました。

ただ、いくら初心者向けの山とはいえ、初めての立山登山(3,000m超え)は不安も多く、事前にあれやこれやと調べることの多かった山でした。

そこで、この記事では、立山(雄山)登山について、事前に調べたことや、実際の現地の様子など、初心者目線で立山(雄山)登山に関する情報を書き留めておきます。

立山(雄山)は初心者でも登れる山だった

まず、立山(雄山)は本当に登山初心者でも登れるのか?という点が一番知りたかったことでしたが、冒頭に書いた通り、立山(雄山)の登山は初心者でも問題ありませんでした。

登山を開始する室堂から一ノ越までは整備された石畳の道が続きますので、少しきついハイキングみたいなものでした。9月の初旬は雪もなく、この区間に限っては、スニーカーでも大きな問題はないぐらいです。(実際、登山をしない観光客のほとんどはスニーカーです)

一方、一ノ越から山頂までは、一転して急な登りと岩場やガレ場が続き、少し油断すると大怪我につながりそうでした。

しかし、初心者でも技術的に困難な箇所はなく、気を付けながら慎重に進めば問題ありませんでした。また、登山道と下山道が分かれている点も、後方が気になって変に焦るようなことがなく、初心者にはありがたい点でした。

登頂時間は一ノ越からゆっくり登って1時間ちょっと。天候の良い日であれば小学生が難なく登ってしまうことに納得できる難易度の山でした。

大汝山まで縦走もおすすめ

夜明け頃に登山を開始して、雄山の山頂に到着したのは6時半でした。

さすがに時間が余ってしまったので、雄山から20分程度で行けると聞いていた大汝山まで行ってみることにしました。

途中、高所恐怖症には怖い場所がありましたが、雄山と同様に技術を要するような箇所はありません。体力に余裕があるなら、初心者の方でも大汝山まで足を伸ばしても良いと思います。

下山の方がずっと怖い

雄山から一の越までの下山は意外と大変でした。急な斜面では、一瞬の油断で自分や他の人が怪我をするリスクがあり、注意が必要でした。幸い、下山開始の時間が早かったため下山する方が少なく、自分たちのペースで進むことができましたが、混雑する時間帯だとさらに大変だっただろうと思います。そう考えると、そこまで混雑していないと聞く9月の上旬の立山は、初心者にとって適している時期なのかもしれません。

東京から立山までの交通手段は複数あり

東京から立山までのアクセスはいくつかの選択肢があり、どのルートで行くべきか悩みました。

調べたところ、東京からのアクセスは、大きく分けて以下の3パターンがありました。

  • 直行バス
  • 新幹線・バス・ケーブルカー・ロープウェイの乗り継ぎ

今回、車移動は検討しなかったので、この記事では詳細を割愛しますが、東京から車で行く場合、扇沢の駐車場に停めることが多そうです。

東京から室堂までの直行バスあり(但し8月末まで)

2023年は、立山の玄関口である室堂まで直行バスが運行されていました。

直行バスは東京を夜(20:40〜)に出発し、朝の7時に室堂へ到着します。(所用時間:約10時間20分)

残念なことに、運行日は8月末までとなっていて、今回訪問した9月のスケジュールでは検討することができませんでした。

料金は、往復で28,000円から(時期によって変動あり)となり、特別安い訳ではありません。しかし、宿泊費や乗り継ぎが不要なため、確かに便利そうです。

後述しますが、立山黒部アルペンルートがかなり楽しいので、初めての立山で直行バスを利用してしまうのはもったいない気がしますが、2回目以降の場合や、帰りだけ利用するなどの場合には有効に活用できそうです。

詳細:東急バス 東京・渋谷・新宿・池袋-立山(室堂)

面倒だけど楽しい立山黒部アルペンルートの移動

直行バスを利用しない場合、室堂まで立山黒部アルペンルートを公共交通機関を乗り継いで向かいます。

立山は富山県の南東部にあり、長野側と富山側の2つの主要なアクセスルートがあります。どちらのルートを選んでも、立山黒部アルペンルートではケーブルカーやバス、ロープウェイなどを利用することになります。

  • 長野駅→(バス)→扇沢→(電気バス)→黒部ダム→(ケーブルカー)→黒部平→(ロープウェイ)→大観峰→(トローリーバス)→室堂
  • 富山駅→(電車)→立山駅→(ケーブルカー)→美女平→(バス)→室堂

乗り継ぎはそれなのに大変ですが、観光ルートと言うだけあり見どころの多い立山黒部アルペンルートは退屈することなく楽しく過ごせます。

立山黒部アルペンルートはWEBきっぷの事前購入が便利

立山黒部アルペンルートのチケットは、WEBで事前購入可能です。現地では行列ができることもあるため、WEB購入はおすすめです。

今回は扇沢から富山駅までのチケットを事前購入し、扇沢駅で発券しました。

長野駅から信濃大町のチケットは、別日になると購入できないので、この点は注意が必要でした。

詳細:立山黒部アルペンルート

立山までの交通費はどのルートも同じぐらい

立山まで公共交通機関を利用して移動する際の交通費は、どのルートでもほぼ同じような金額になりました。

金額があまり変わらないのであれば、いろんな風景を楽しめる立山黒部アルペンルートを抜けてしまうルートの方が良いかもしれません。

新幹線(通常価格)

  • 東京→長野(新幹線) 8,340円
  • 東京→富山(新幹線) 12,960円

詳細:JR東日本(北陸新幹線)

立山黒部アルペンルート

  • 長野→電鉄富山:15,270円
  • 電鉄富山→長野:15,270円
  • 長野⇄室堂(往復):18,500円
  • 富山⇄室堂(往復):9,840円

詳細:立山黒部アルペンルート

東京から新幹線で長野経由、立山黒部アルペンルートを通じて富山までのルート(逆ルートも同額):合計36,570円

区間金額
東京駅→長野駅8,340円
長野駅→電鉄富山駅15,270円
富山駅→東京駅12,960円
合計36,570円

 

東京から新幹線を利用して長野へ、そして長野から室堂間を往復するルート:合計35,180円

区間金額
東京駅→長野駅(新幹線)8,340円
長野駅⇄室堂ターミナル(往復)18,500円
長野駅→東京駅(新幹線)8,340円
合計35,180円

 

東京から新幹線を利用して富山へ、そして富山から室堂間を往復するルート:合計35,760円

区間金額
東京→富山(新幹線)12,960円
富山⇄室堂(往復)9,840円
富山→東京(新幹線)12,960円
合計35,760円

立山黒部アルペンルートは長野側の見どころが豊富かも

立山黒部アルペンルートを富山側か入るか長野側から入るかについても悩みました。

今回は長野側から入り、富山側へ出るルートを選択しましたが、結果として良い選択だったように思います。なぜなら、長野側は黒部ダムやロープウェイなど見どころが多く、登山で疲れる前に訪れた方が楽しめる気がしたからです。

目的(登山)を達成してからゆっくり楽しむという判断もあるので、どちらが正解という訳ではありませんが、特に登山初心者の方や観光をメインに考えている方には、先に長野側の観光スポットを満喫するルートをおすすめしたいと感じました。

信濃大町の前泊もおすすめ

今回、立山(雄山)の登山前に、信濃大町で一泊しました。

立山(雄山)への登山のためだけなら、信濃大町で宿泊する必要はありません。しかし、そのおかげで翌日、室堂に早めに到着できるという大きなメリットがあります

さらに、信濃大町には、

など、見どころが多く、楽しめる街でした。時間が許せば、信濃大町での宿泊はおすすめです。

参考:信濃大町なび

信濃大町の「旅館 七倉荘」は格安&アクセス最高

信濃大町で宿泊した「旅館 七倉荘」は、古い建物ながら駅やバス停へのアクセスが抜群で、スタッフの接客も非常に親切な宿です。共同のトイレやお風呂も清潔に保たれており、2名の素泊まりが11,000円とリーズナブル。特に登山を目的とするお客さんには便利で、扇沢行きのバス停までわずか2分です。もちろん至れり尽くせりの宿ではありませんので多くは求められませんが、この価格で得られる満足度は高いです。

詳細:旅館 七倉荘

一の越山荘の宿泊は初心者にとってメリット多数、だけど・・・

雄山に登る前日に、一の越山荘でも1泊しました。信濃大町での宿泊と同様に、雄山に登るためだけに一の越山荘へ宿泊する必要はありません。さらに宿泊費(1泊2食で11,000円)がかかるというデメリットさえあります。

その一方で

  • 重い荷物を山小屋に預けて軽装で登山可能(荷物は乾燥室に置き、自己責任となります)
  • 雄山山頂まであと300m程度なので、翌日は楽に登山可能
  • 食事の準備やテント、寝袋を持参する必要がない
  • 立山の景色を存分に楽しめる
  • 星空の美しさに圧倒される
  • 頑張れば山頂で日の出を見られるかも(一の越山荘からは不可)
  • 個室
  • トイレは清潔で水洗

など、登山初心者にとって多くのメリットもあります。

特に、宿泊者しか見られない日没前や早朝の風景、そして星空は最高でした。

窓から見える景色も幻想的。

山小屋とは言え、個室や水洗トイレもあり。初心者でもハードル低めの山小屋です。

そんな一の越山荘をおすすめしたいところですが、事前に見ていた口コミ通り「ちょっとなぁ」と感じる部分も実際にありました。詳しくは書きにくいのですが、頑固な店主のいる飲食店を避けたいタイプの方には、あまりおすすめできません。

スタッフは明るくて一生懸命な方が多いので、気にならない方が圧倒的に多いと思いますが、相性が悪いと思いもよらない体験をする可能性もありそうです。

詳細:一の越山荘

早くて美味い室堂ターミナル内の蕎麦屋

駅中にある蕎麦屋は早くて美味い蕎麦屋でした。富山のチェーン店なんですね。こんな場所にあるので値段はそれなりに高いですが、蕎麦つゆの塩分が体中に染み渡ります。おすすめ。

詳細:立山そば

晴れの日の雷鳥探しは難しい?

探鳥が趣味なので、当然のように雷鳥に出会えることも期待していました。

しかし、なんとか見つけることができたのは、かなり遠くにいた1羽のみ。他の方も全然見かけなかったそうです。

聞いた話によると、晴れた日よりも、天敵から見つかりにくい天候が少し崩れていた日の方が雷鳥は出てくるそうです。実際、猛禽類がホバリングしているとこをを見かけました。

縄張り争いをするような時期(5月〜6月)には晴れの日でも出てくることが多いようですので、「時期次第」(あと時間も)と言えそうですが、9月初旬の晴れた日には、雷鳥探しに苦労する可能性があることは頭に入れておいても良さそうです。

9月上旬の立山登山は真冬の寒さになることも

9月上旬の立山は、気温の変動が激しかったため、服装の選択に悩みました。

現地では、日中の動き出し時の気温は半袖で過ごす方もいるほどで、寒くは感じませんでした。僕は長袖メリノウールと化繊シャツを着用していましたが、これは日焼けを避けたかったためで、移動中は少し暑かったです。

ただし、夜になるとかなり冷え込み、外は風も強く、体感では真冬並みの寒さでした。

星空を見るために夜外に出た際、一番下に「キャプリーン・エア・クルー」を着、その上にシャツ、さらに防寒用の「マイクロ・パフ・フーディ」ジャケットを羽織りました。また、タイツの上に通常のパンツを穿き、さらに雨具のパンツで防風しましたが、それでもかなり寒さを感じました。山小屋の中では、食堂でストーブが焚かれていたたぐらいでしたので、外の気温はかなり低かったこはずです。

一方、早朝の雄山登山ではメリノのベースレイヤーにキャプリーン・エア・クルーを着て丁度よいぐらいでした。6時半頃の山頂は少し寒く、パタゴニアのフーディニを着ていましたが、少し後の時間になると半袖で登ってくる方もいました。

結論として、この時期は最悪の事態に備えて寒さ対策が必須です。その結果、荷物が増えることは避けられませんが、仕方ないでしょう。

参考までに、当日準備(着ていた)服装はこんな感じでした。

  • 半袖Tシャツ(重ね着用)
  • メリノウール長袖
  • 化繊シャツ
  • パンツ(中厚手)
  • タイツ(スポーツタイツ・防寒用×各1):防寒用タイツは夜の屋外で着用
  • ウインドシェル
  • キャプリーン・エア・クルー(フリース代わり)
  • 防寒用ジャケット(マイクロ・パフ・フーディ):夜の屋外で着用
  • 雨具上下:パンツは夜の屋外で着用
  • 厚手のソックス
  • キャップ
  • ニットキャップ:夜の屋外で着用

まとめ:9月の立山(雄山)は本当に登山初心者に最適な山でした

立山(雄山)は、そのアクセスの良さ(時間はかかりますが)、分かりやすいルート、そして美しい景色が楽しめることから、登山初心者にとっては最適な選択肢の一つと言えそうです。

特に9月初旬の立山は、特別な技術や装備(もちろん通常の登山に必要な最低限の装備は必要)を必要とせず、初めての登山でも絶景を楽しむことができます。少し人出の落ち着いている季節なことも初心者にとってはありがたいです。

ただし、変わりやすい天候や気温の変動などリスクは当然孕んでいますので、十分な準備と情報収集を行った上での挑戦をおすすめします。

  • この記事を書いた人

モノタビ

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