フェスの記録

フジロック2023に行って来た|4年ぶりの参加で感じた変化やライブのお話

2023年8月7日

フジロック2023へ行ってきました。2019年以来、4年ぶりの参加です。

2020年は開催自体が中止でしたので、実際には2021と2022年の2回行かなかっただけなのですが、それでも以前のフジロックとはいろいろと変化していました。

それはどんなところ?というお話を中心に、見たライブの感想も少しだけご紹介します。

尚、久しぶりすぎて記憶がかなり怪しく、2019年以前から変化していた箇所も含まれているかもしれませんがお許しください。

フジロック2023の到着エリアはやや寂しい風景に

会場に

到着したのは木曜日の10時半ごろ。

テントサイト入場待ちの行列は例年通り。

しかし、レストランやショップが一つもないことには驚きました。2019年までは、到着直後の来場者や飲食店目的の来場者で混雑するエリアでしたよね。2023年はヤマトの受付とリストバンド交換所のみとなってしまい、かなりスッキリした風景に変わっていました。

この場所では、到着後とりあえずビールを飲んで一息ついてからテントサイトに入りたかった方も多いはず。少し寂しさを感じる変更でした。

なお、僕はリストバンドを現地で交換する必要があり、テントサイトの列に並ばずにリストバンド交換所のオープンを待っていたのですが、これは大失敗でした。結局リストバンド交換が開始となったのはテントサイトオープンと同時刻の12時だったのです。最初から列に並び、入場直前にリストバンドを交換するべきだったようです。でも、海外からの来場者専用の交換窓口はなぜか1時間早い11時に開始だったんですよね。日本人向けも同時刻にして欲しいものです。

熊に注意!の案内が各所に

テントサイトに入ると最初に目に飛び込んでくるのが「熊に注意!」の案内でした。

開催直前に苗場プリンスホテル周辺で熊の目撃情報があったためか、テントサイトでは「熊に注意」の案内がいくつか貼られていました。幸い期間中に熊を見かけることはありませんでしたが、夜間や早朝に出歩くのは少し緊張する2023年フジロックでした。

イエロークリフのテーブル&椅子は最高!

到着エリアの飲食店が移動したイエロークリフ(以前は入場ゲート前の駐車スペースだった場所)には、椅子とテーブルが用意されていて非常に便利でした。到着エリアに店がないことに寂しさを感じましたが、実際にはこの変更は大成功だと思います。

パレス・オブ・ワンダーが復活

2023年のフジロックではパレス・オブ・ワンダーが復活しました。存在しなかった期間を経験していないので、「復活!」と言われても実感がないのですが、2019年から場所が移動されていたことは新鮮でした。(入場ゲートを正面に見て、右側から左側に移動)

パレス・オブ・ワンダーが復活したことは非常に喜ばしいのですが、何となく以前の世界観が薄れてしまった感が否めません。以前の形を最小限に復元してはいるのですが、ごちゃっとしながらも統一感のあった「怪しさ」というか「大人の遊び場」感がしないんですよね。

ルーキーやサーカースは以前よりも余裕を持って見ることができるようになったので、必ずしも以前の方が良かったとは断言できませんが、この変更にもやや寂しさを感じました。

フジロック2023の前夜祭は激混み

2023年フジロックの前夜祭は激混みでした。2019年以前のフジロックも前夜祭から混雑していましたが、2020年以降はこんな混雑は避けた生活をしていましたので緊張してしまいます。

レストランの行列も恐ろしく長く、並ぶ気力が失せてしまったので、イエロークリフまで一度退避します。

結局、前夜祭のライブもJATAYUと「紫」を少し見ただけでテントへ戻ってしまいました。

スタンディングエリアが明確に

ホワイトステージやヘヴンステージでは、スタンディングエリアがはっきりと分けられていました。(2019年以前にもそうだったかは覚えていません) このエリア分けは比較的厳格に守られていて(注意もされていた)、前方で座るグループが発生することはあまりなかったように思います。

ただし、この手の案内はもう日本語だけでは意味をなさなくなってきている気がします。現状では、ルールを理解し守るのは日本人だけ、なんて歪な状況が発生しがちです。

もちろん、英語での案内もあるのですが、その数は圧倒的に少ないです。少なくとも英語、可能であれば中国語や韓国語の案内も増やすべき時期に来ているのではないでしょうか。

初導入FUJI ROCK PLUS

フジロック2023の大きな変化の一つとして、「FUJI ROCK PLUS」の導入がありました。用意されたFUJI ROCK PLUSは以下の2種類でした。

  • PLUS① Bus & Food Pass ¥20,000 (1人/1日)
    • 専用シャトルバス
    • 専用休憩スペース(専用トイレあり)
    • 飲食店での優先購入
  • PLUS② Stage & Goods Pass ¥15,000 (1人/1日)
    • 専用ビューイングエリア
    • グッズの優先購入

これはいわゆるVIPチケットのようなものですね。僕は利用していないのでチケット自体の評価はできませんが、口コミを見る限り、概ね好評だったようです。

各所にFUJI ROCK PLUS専用のテントが設置されていたり、

ホワイトステージのPA近くに専用エリアが確認できました。

入場規制が発生した際でも入場可能で、飲食店の行列も気にせず注文できるという点は確かに便利でしょう。

ただ、僕は不便さや大変さもフジロックの魅力の一つだと思っていたので、「フジロックがついにここまで来たか…」という複雑な感情も抱かざるを得ませんでした。来年もFUJI ROCK PLUSは続けられると思いますが、その拡大があまりにも進むことがないことを願うばかりです。

レッドマーキーのライティングが華やかに

レッドマーキーの照明は以前よりも華やかになっていたように感じました。そんなことを言いつつ、実際にはレッドマーキーであまりライブを見ていないので、その恩恵を受けていないのですが・・・。

フィールド・オブ・ヘブンの後方からお店が消えた

ヘブンの後方からお店が消えてしまいました。確かに、スペースが広くなったことは良いことではあるのですが、以前のヘブンの雰囲気は、その周辺のお店と一体となって作り出されていたように思います。個人的にはかなり残念な変更の一つでした。その一方で、収容人数が増え、移動も楽になったことは確かです。どちらが良かったのかと言われれば答えは出せませんが、ソフトドリンクが売られていなかったり、さくら組のピザがなかったりと、以前と比較するとやや寂しいヘブンになってしまった感じが否めません。

旧オレンジが完全にレストランエリアに

旧オレンジのエリアは、ヘブンから移動してきたお店を含め、完全なレストランエリアとなっていました。正直言って、このエリアはあまり魅力的ではなくなってしまいました。オレンジからステージがなくなった2015年以降も、何らかの形で来場者を楽しませようという工夫があったと記憶していますが、2023年のオレンジエリアは単に食事をする、トイレに行くための場所となっていました。

オレンジの奥には何もなく、フジロックを満喫できるのは実質的にヘブンまでとなってしまいました。

旧ワールドレストランエリアはFUJI ROCK PLUSのテントだけ

かつてワールドレストランがあった場所には、今ではFUJI ROCK PLUSのテントだけがあるという、何とも寂しい状況になっていました。レストランはもちろん、BLUE GALAXYも存在しません。

ボードウォークの装飾と照明は華やかに

全体的にコスト削減が感じられたフジロック2023でしたが、ボードウォークの装飾と照明にはコストがかけられていたように思います。

以前、亡くなったアーティストの骸骨を展示して不評だった「追悼エリア」は文字だけで控えめでしたが、

トンネルがあったり、

アート系の展示があったり、

特に、ホワイトステージとグリーンステージの間のボードウォークには夜間照明がつけられ、安心して利用できるようになっていたのは便利でした。(2019年以前からあったかもしれませんが、記憶があいまいです。)

猛暑の中、アバロンが貴重な休息の場に

厳しい暑さが続いたフジロック2023。

その中で、例年以上にアバロンの木陰は貴重な休息の場となりました。ヘブンの雰囲気がやや残念なものになってしまったのと対照的に、このエリアは一番素敵な場所と言えるかもしれません。

アマゾンの買い物がフジロックの会場に届く

2023年のフジロックはAmazon Musicがサポートしており、それに伴い大規模なブースを出店していました。

このブースにはロッカーが設置され、Amazonでの購入品を会場で受け取ることが可能になっていました。僕自身は使う機会がありませんでしたが、何かを忘れてしまった場合でもフェスティバル期間中に受け取れるという安心感は良かったです。

森のピアノ@木道亭

木道亭には、誰でも弾けるピアノが設置されていました。他のステージの出演者が演奏する時間もあったようですが、僕が訪れた時には観客が演奏していました。それでも、坂本龍一の「Mr.Lawrence」を演奏する方や、偶然居合わせた海外の方たちが連弾を始めたりと、プロの演奏でなくとも十分楽しめるステージでした。来年以降も続けてほしいと思います。

手洗い場のハンドソープは最高!

手洗い場にはハンドソープが備え付けられていました。噂で聞いていましたが、そのハンドソープの香りは本当に素晴らしく、日常生活でも使いたくなるほどでした。250mlで3,080円もする高級ハンドソープを惜しみなく提供していただけるとは、感謝しかありません。

手洗い場といえば、なんとかしてテントサイトのトイレ付近に手洗い場を設置できないものでしょうか。テントサイトの手洗い場はトイレから遠く、しかも混んでいることが多いため、手を洗わない人も多く見かけます。(オェ)

男性トイレ(小)が扉付きに

2019年以前の男性用トイレ(小)はカーテンタイプが多かったように記憶していますが、2023年の会場のトイレは扉付きが増えていました。この仕様は、大きめのリュックサックを背負っていると扉が閉じにくく、使用時に前のめりになってしまうという意外なデメリットがありました。

苗プリ裏には巨大な滑り台が

苗場プリンスホテルの裏には巨大な滑り台が設置されていました。3回で1,800円という価格設定だったため、僕は利用しませんでしたが、見る限り非常に楽しそうでした。これがフジロックのために設置されたものなのか、それとも苗場プリンスホテルが提供しているものなのか、どちらなのでしょうか。

猛暑対策が必須に

2023年のフジロックは、暑さ対策なしでは3日間無事に過ごせないぐらいの猛暑日続きでした。

SNSで話題となっていた冷タオルの導入や、日焼け防止目的で長袖で過ごすなどの対策をした結果、なんとか無事に過ごすことはできましたが、汗を大量にかくため、Tシャツの着替えは例年以上に必要でした。

スマホのバッテリー管理がさらに重要に

会場の各ショップが完全にキャッシュレスになり、さらにZカード(紙のタイムテーブル)の配布もなかったため、以前よりもスマートフォンが必須の環境となっていました。当然のことながら、スマートフォンのバッテリーはすぐに減ってしまい、電量管理に苦労しました。幸い、充電できるブースもあり、一度利用しましたが、今後はモバイルバッテリーを少し多めに持参する必要があると感じました。

完全キャッシュレス導入は少々混乱気味

前述したように、2023年のフジロックでは完全キャッシュレスが導入されていましたが、実際にはかなり混乱が見られ、一部の店舗では途中から「現金のみ」になってしまう場面もありました。キャッシュレス決済は便利であり、大いに歓迎すべきですが、通信状況の悪さが影響しているのか、決済には現金よりも時間がかかり、どの店舗も長い列ができていました。

牛すじビリヤニは絶品!

期間中食べた物の中では、アバロンの牛すじビリヤニがベストでした。トッピングなしでも野菜たっぷり。1,000円は以前のフジロックなら「高い!」と感じていたかもしれませんが、2023年はどこも1,000円オーバーばかり。結果的に2回も食べてしまうぐらい気に入ってしまいました。

フジロック2023で観たライブの感想を少しだけ

テントがあまりにも暑く、毎日日陰を求めて朝からステージへ向かうことになったフジロック2023。毎度恒例ですが、見たいアーティストの時間は被りまくりなこともあり、結局見ることのできたライブは例年通り少なめでした。

7月28日(金)に観たライブ

  • FEVER 333(フル)
  • Alexander 23
  • IDLES(フル)
  • YVES TUMOR
  • 矢沢永吉(冒頭だけ)
  • CORY HENRY
  • YO LA TENGO
  • DENZEL CURRY(フル)
  • THE STROKES(フル)

朝から見たFEVER 333は期待通り暑苦しいライブでした。どこかに登る気はしていましたが、まさかあそこまで行くとは。

IDLESのライブも今時珍しいぐらいの暑苦しさ。良かったです。YVES TUMORは盛り上がっていましたが、勉強不足なこともあり途中で飽きてしまい、移動してしまいました。

矢沢永吉は動く姿をひと目見られただけで満足。CORY HENRYとYO LA TENGOもチラ見で終えてしまいました。

この日の目的だったDENZEL CURRYは終始テンションの高い良いライブでしたが、観客は少なめでした。それもそのはず、裏がYEAH YEAH YEAHSだったんですよね。見事に時間が被ってしまい、泣く泣くDENZEL CURRYを見ることにしましたが、YEAH YEAH YEAHSも見たかったなぁ。なぜYEAH YEAH YEAHSがグリーンかホワイトじゃなかっのでしょうか。グリーンでYEAH YEAH YEAHSの後にTHE STROKESなんて最高の流れだと思うけどなぁ。

トリのTHE STROKESは噂通りの淡々としたライブでした。好きな曲を全て聴けたので不満はありませんでしたが、他の日のトリと比べると、ファンでない方には楽しむのが難しいライブだったかもしれませんね。

7月29日(土)に観たライブ

  • GEZAN with Million Wish Collective(フル)
  • ITACA BAND
  • DERMOT KENNEDY
  • 羊文学
  • WEYES BLOOD
  • ALANIS MORISSETTE(フル)
  • CAROLINE POLACHEK
  • SLOWDIVE
  • FOO FIGHTERS(フル)
  • 長谷川白紙

GEZAN with Million Wish Collectiveのことは何も知りませんでした(以前フジロックの配信で目にしたぐらい)が、とても良いライブでした。

ITACA BANDは以前見たとこがあり、あまりにも暑いので日陰から遠巻きに眺める程度でしたが、かなり盛り上がっていました。

DERMOT KENNEDYは通りがかりに少しだけ。羊文学も少しだけでしたが、シンプルな構成でカッコよかったです。

WEYES BLOODも途中から少しだけ聞き、ALANIS MORISSETTEへ。残念ながら声量が無さすぎて「ベスト」とは言い難いライブでしたが、動くALANIS MORISSETTEを見られただけでも価値はあった気がします。

CAROLINE POLACHEKは一番聞きたかった曲を見逃してしまいましたが、WEYES BLOODとの共演を含め神々しさを感じるライブでした。

FOO FIGHTERSはCORY WONGと迷いまくった結果に見ましたが、期待通りのサービス精神に満載のライブでした。FOO FIGHTERSのライブにハズレなしですね。途中、ALANIS MORISSETTEやウィーザーのメンバーがゲストで登場するなど、見逃したら後悔したであろう瞬間もあり、大満足でした。(でもCORY WONGは見たかった…)

長谷川白紙も最後まで見たかったのですが、体力が限界に達してしまい、途中で断念。もうフジロックの深夜を楽しむ体力がないようです。

7月30日(日)に観たライブ

  • 100 gecs
  • NEAL FRANCIS(フル)
  • BLACK MIDI
  • FKJ
  • LIZZO(フル)
  • WEEZER

朝からドラゴンドラに乗ってしまったこともあり、最初のライブが16時10分スタートの100 gecsとなってしまった最終日。フルで見たのはNEAL FRANCISとLIZZOだけという、参加したフジロックで過去一番きちんとライブを見なかった日になってしまいました。

100 gecsは数曲で飽きてしまい、ヘブンのNEAL FRANCISへ。NEAL FRANCISはややボーカルが弱い気もしましたが、ヘブンらしいライブで盛り上がりました。

BLACK MIDIは通りすがりのに眺めただけなのでノーコメント。FKJは機材トラブル続きで残念なライブになってしまい可哀想でした。是非来年リベンジしてほしいと思います。

圧巻だったのはLIZZOでした。さすが現役のトップアーティストのライブです。LIZZOについては正直あまり好みのアーティストではない気がしていたのですが、あっと言う間に感じてしまうぐらい魅了されたライブでした。本人はもちろん、女性ファンのパワーがすごい。終始肯定されまくる(You're special!)ライブって良いですね。

それだけに、フジロック後に発覚したLIZZOに対するバックメンバーの提訴は残念なニュースです。これがLIZZOの日本最後のライブなんてことにならないことを願うのみですが、どうなるでしょうか。

WEEZERはLIZZOの終了後に急いで向かったのですが、あまりの混雑に1曲も聞かずに戻ってきてしまいました。

まとめ

4年ぶりのフジロックは、やはり非日常で楽しく、行ってよかったです。

やっと以前のフジロックが戻ってきた、と言いたいところですが、各所で見受けられるコストカットの影響は否めません。過去数年間のダメージが深刻なように思えます。

以前のフジロックは一見無駄な箇所にも遊びがあり、そこが好きだったのですが、2023年のフジロックは主要箇所は同じながらも以前とは異なるイベントへと変わりつつある雰囲気を感じました。(2015年以降もその傾向はありましたが)

そもそも、今年のテーマであった「超気持ちいい!FUJI ROCK」が何を意味していたのか分かりませんでした。もしFUJI ROCK PLUSのことを指していたのであれば残念です。来年以降、FUJI ROCK PLUSがさらに充実する一方で、他の要素が疎かになるようなフェスになってしまうと、「ちょっとそれは違うんじゃないの?」と感じてしまうかもしれません。

フジロックには、多少不便でも良いので、訪れた人々が非日常感にどっぷりと浸ることができる環境、そして以前のような多様性や懐の深さを感じさせるラインナップを期待しています。

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