パタゴニアの定番フリース「R2ジャケット」のお話です。
パタゴニアにおける不動の定番アイテムだと思われていたR2ジャケットは、なんと2021年の秋冬で廃番となり、カタログから完全に消えてしまいました。
なぜ「R2ジャケット」のような人気アイテムが廃番になってしまったのでしょうか?
その理由を推測してみます。
お知らせ
※2023年に新登場した「リツール・ジャケット」は、廃番となったR2ジャケットの後継とも言えそうです。本記事の後半に少し情報を追記しています。
目次
定番パタゴニア「R2ジャケット」は廃番前にモデルチェンジしていた
「R2ジャケット」は2018年にモデルチェンジしています。
その前のモデルにくらべ、素材や見た目はシンプルに、そして少しゆったりしたシルエットになっていたのです。
R2ジャケットは何度か仕様が変更されていますので、どのR2ジャケットかで随分と印象が異なるのですが、2018年より前のモデルは思いのほかタイトなシルエットでした。(さらに昔のR2ジャケットはゆったりしたシルエットです)
こちらが旧モデル(2017年以前)の「R2ジャケット」。シルエットのタイトさは「R2ジャケット」が「中間着」としてアウトドアシーンで使われることを最優先した結果で、抜群のフィット感からファンの多い商品でした。(日常使いしたい層からは不人気でしたが)
それが、腕の部分や胴回りのシルエットが少しゆったりたシルエットへ変更されたのです。
さらに、着丈が短くなり、素材違いで構成されていたネックや腕も部分は起毛したフリースだけ。テクニカルジャケット感が薄まり、比較的シンプルな見た目と変更されました。
実は第一線を退いていた「R2ジャケット」
「R2ジャケット」にこのような仕様変更がされた意図を知ると、廃番になったヒントを手に入れられるかもしれません。
2018年当時、パタゴニア直営店の店員さんから聞いた話ですが、パタゴニアとしてはR2ジャケットを本格的に使用される「フィールド」の商品群から、「ライフスタイル系」の商品へと立ち位置を変更したそうです。今まで「R2ジャケット」が担ってきたポジションはナノエアジャケットあたりが担えるので問題ないという判断だったようです。
より日常でも使いやすい仕様へと変更された「R2ジャケット」ですが、結果としてR2ジャケットはリニューアル後も「ライフスタイル系」の製品にしてはテクニカル系アイテムの要素が強く、テクニカル系のジャケットとしては仕様が古いという、やや中途半端な位置付けの製品になっていたように感じています。
「ライフスタイル系」としては思っていたほど売れないし、テクニカル系のジャケットとしてはもう役割を終えている、ということが「R2ジャケット」が廃番になった理由のひとつかもしれませんね。
「R2ジャケット」廃番の理由はポーラテックからリサイクル・ポリエステルへの変更?
パタゴニアがすすめるリサイクル・ポリエステル素材への仕様変更が、「R2ジャケット」廃番の理由となった可能性もありそうです。
ご存知のように、パタゴニアは各アイテムに使用する素材をリサイクル・ポリエステルへ変更し続けています。
R2ジャケットは素材に「Polartec Thermal Pro」や「Polartec Power Grid」というポーラテック素材を使用したジャケットでした。
それをリサイクル・ポリエステル素材で代用することが難しかったのか、若しくはリサイクル・ポリエステルでリニューアルするほどの価値をもう見いだせていなかったのかもしれません。
何れにせよ、「R2ジャケット」の仕様は、今後のパタゴニアの方針にそぐわないという判断になってしまったのではないでしょうか。
後継はこれで決定?「リツール・ジャケット」はR2ジャケットの代替品になるのかも
2021年に廃番となってしまったR2ジャケットですが、後継モデルは販売されてきませんでした。
そのため、別メーカーの類似モデルや古着のR2ジャケットを探す方も多かったのですが、2023年の秋冬にようやく「後継」とも言えそうなモデルが登場しました。
それが、「リツール・ジャケット」です。
見た目からして、これは限りなくR2ジャケットの後継と言えそうなアイテムです。
R2ジャケットをお探しの方には最適!と言いたいところですが、いくつかの違いがあるので気になる点を述べておきます。
1.リサイクル素材を採用
まず、やはり素材がポーラテックではなく、リサイクル素材が採用されています。
普段使いするだけであれば大きな影響はないかもしれませんが、最近のパタゴニアは繊維抜けが多いので注意が必要です。何かあった時には、返品交換がしやすい公式サイトや直営店での購入が安心かもしれません。
2.重量はやや重くなっている
そして、重量も522gと、R2ジャケットの約380gに比べると重くなっています。素材が異なっていたり、軽量化を図るような工夫が施されていないということもあり、印象としては、これはかなり普段使い向きな「ライフスタイル系」のジャケットなのかな、という気がします。
「リツール・ジャケット」は普段使いしやすいフリースジャケット
実際に「リツール・ジャケット」を羽織ってみると、その軽さと非常に良い着心地に驚きます。
素材がやや硬めな「レトロX」と比べると、普段使いや旅行などのシーンでは、「リツール・ジャケット」の方がより使いやすいと感じられそうです。
前述の通り、このジャケットは「R2ジャケット」を大きく「普段使い」向けにアレンジした仕様です。そのため、「R2ジャケット」のデザインが好きだった方や、主に普段使いを目的としている方には、かなりおすすめできる一着です。
結論として、「リツール・ジャケット」はアウトドア用途も兼ねた「R2ジャケット」の完全な後継として期待するとやや物足りないと感じるかもしれません。
しかし、「R2ジャケット」の雰囲気を受け継ぎつつ、普段使いしやすいフリースジャケットとして考えると、非常に魅力的なアイテムと言えるのではないでしょうか。
詳細:パタゴニア Patagonia メンズ・リツール・ジャケット BLK M
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