2024年も、変わらずフジロックフェスティバルへ参加してきました。
参加回数を数えてみたら、記念すべき20回目のフジロックだったようです。
まず手短に2024年のフジロックを評するならば、「非常に快適だった」ということです。その結果、近年参加したフジロックの中では、比較的多くのライブをじっくりと楽しむことができました。
観たライブも含め、フジロック2024のレポートをお届けします。
目次
天候も人の多さもちょうど良かった2024年のフジロック
繰り返しになりますが、2024年は「とても快適なフジロック」でした。
まず、天候が良かったですね。日中は流石に暑かったですが、30度を超えることはなく、夜は20度近くまで下がるのでとても快適でした。
雨は日曜日に少し長く降った程度で、金曜日は晴れ、前夜祭や土曜日も短時間で止んでしまいました。昨年の猛暑や、以前の大雨や台風など、「過酷」なことが少なくないフジロックにしては、あまりにも快適すぎる4日間でした。
あと、人の多さもちょうど良かったです。
前夜祭に限ってはかなりの混雑でしたが、金曜日以降はレストランで耐えられないほど並ぶことはありませんでしたし、トイレについても同様でした。それでも、各ステージは「そこそこ」の混雑はあり、「ガラガラすぎて心配」になるようなこともありませんでした。
公式発表によると、2024年の動員数はのべ96,000人だったそうです。実は、「2024年のフジロックはあまりチケットが売れていないらしい」という噂を聞いていたので、かなり心配していました。確かに少ない気はしましたが、今年ぐらいが一番快適に過ごせる人数じゃないかしら。もしも今年の動員人数で採算が取れるのであれば、参加者としては今年ぐらいの規模でお願いしたいものです。
海外からの参加者はさらに多く
人出は「そこそこ」でしたが、外国人の参加者は過去にも増して多かったように感じました。
僕のテントは四方を海外からの方に囲まれていましたし、ライブの開始を待っている間も、聞こえてくるのは外国語ばかりでした。
根拠はありませんが、体感としては半数近くが外国からの参加者だったとしても驚きません。特徴としては、従来から多かった中国語を話す方や韓国の方だけでなく、東南アジアからの参加者が増えていました。
一方で、欧米からの参加者はあまり多くない印象を受けましたが、これは今年のラインナップが影響していたのでしょうか。キラーズはさておき、クラフトワークとノエル・ギャラガーがメインアクトでは、ちょっと厳しかったのかもしれませんね。
経費は削減傾向だった?
会場の設備や装飾については2023年と似ていた部分が多いようです。
ただし、歴史的な円安や物価高が影響しているのでしょうか。全体的に簡素化されていて、ステージの装飾やステージ間の賑やかしも少なめなように感じました。その代わり、洋式トイレが増えていたり、綺麗な状態が保たれていたりしたので、予算の振り分け方が例年と少し変更されていたのかもしれません。
個人的には、2023年と同様に、ORANGE CAFÉがあまりにも遊びのない場所になってしまっていることが残念です。レストランとトイレがあるだけなんですよね。あまり昔話をしても仕方がないのですが、ここにステージがあった頃は良かったですよね。
ORANGE CAFÉの奥はキャンプヴィレッジになっていました。Cafe' de Parisのような、「遊び」の場所がどんどん無くなってしまっているフジロック、残念です。
2024年も牛すじビリヤニを食す
食事に関しては、昨年美味しかった牛すじビリヤニを3回も食べてしまいました。もっと他にもチャレンジすべきだったと思うのですが、野菜もしっかり入っているし、もちろん美味しいしで、他を試す気になりませんでした。
食事と言えば、昨年はキャッシュレス決済の通信不良で混乱していましたが、2024年はスムーズでしたね。
各キャリアが頑張ってくれたおかげだと思いますが、特に昨年だめすぎたドコモが力をいれていたのかもしれません。
2024年のフジロックで観たライブ
さて、前置きが長くなりましたが、2024年のフジロックで観たライブの感想です。
2024年7月26日(金曜日)
- 渋さ知らズオーケストラ(フル)
- FRIKO(フル)
- TEDDY SWIMS
- CHIP WICKHAM(フル)
- GHOST-NOTE(フル)
- HIROKO YAMAMURA
- THE KILLERS(フル)
この日の目玉は、皆さんと同様に僕も待ち焦がれていたバンド、THE KILLERSでした。
THE KILLERSがフジロックをキャンセルしたのは2009年だったでしょうか。その後、単独公演も当日に延期となるというドタバタを経験し、フジロックのトリという大役を務めることは、もうないのかと思っていましたし、まさかの「代役」として急遽登場してくれるとは思いもよりませんでした。 さらに、金曜日のグリーンステージがあそこまで埋まるとは驚きでした。
日本との相性の悪さばかり語られることの多いTHE KILLERSでしたが、ようやく本来の正当な評価を日本でも得られるきっかけになったのではないでしょうか。本当に来てくれて良かったです。同時に、やはり初期3作品を出したころの、若く勢いのあるTHE KILLERSを苗場で見たかったという悔しさも感じたライブでした。
THE KILLERS以外で楽しみにしていたのは、FRIKOでした。 今年リリースしたアルバムが話題となり、あっという間にグリーンステージに登場することになったFRIKO。ライブではさすがに緊張している様子が伺えましたが、やはり楽曲の質の高さが際立っていました。このクオリティが次のアルバムまで続くのであれば、将来的に非常に大きな存在感を持つバンドになる可能性を感じました。最後には単独公演のスケジュールを発表した二人。そちらのチケットも争奪戦になるだろうことを予感させるライブでした。
その他では、GHOST-NOTEも素晴らしいパフォーマンスを見せてくれました。もしもTHE KILLERSのファンでなかったなら、この日のベストアクトはGHOST-NOTEを挙げていたはずです。ジャズでありファンクでもある、まさに「FIELD OF HEAVEN」にふさわしい内容のライブでした。 FIELD OF HEAVENに関しては、GHOST-NOTEの前に観たCHIP WICKHAMも素晴らしく、久しぶりに観た渋さ知らズオーケストラも相変わらず満足度の高いステージでした。
2024年7月27日(土曜日)
- THE LAST DINNER PARTY(フル)
- GLASS BEAMS
- NONAME
- BETH GIBBONS(フル)
- KRAFTWERK(フル)
土曜日は念願のBETH GIBBONSに心を揺さぶられた日となりました。暗く美しく、そして繊細なBETH GIBBONSの歌声を聴けただけで満足していたのに、まさかポーティスヘッドの"Roads"を歌ってくれるとは。"Roads"のイントロが聞こえてきた時には、思わず変な声を上げてしまいました。この瞬間が、今年のフジロックのハイライトとなりました。(実は、"Roads"は現在のツアーではほぼ毎回演奏されているんですね)
BETH GIBBONSの後、グリーンステージのトリを飾ったKRAFTWERKに関しては、ほとんど思い入れがないこともあり、正直に言うと感動はありませんでした。しかし、「KRAFTWERKを実際に観た」という事実が、後々大きな意味を持つ気がしています。そう思いながらも、SAMPHAとTHE YUSSEF DAYES EXPERIENCEを観ていないことをかなり後悔しています。KRAFTWERKは数曲で切り上げて、奥のステージへ向かうべきだったかもしれません。
この日最初に観たTHE LAST DINNER PARTYも素晴らしいライブでした。各メンバーが個性的で、バンドが今後どのように進化していくのか楽しみです。
GLASS BEAMSとNONAMEは、あまりにも人が多すぎて、途中でレッドマーキーから離れてしまいました。特に、GLASS BEAMSはもう少し大きなステージでも良かったのではないかと思います。
2024年7月28日(日曜日)
- NO PARTY FOR CAO DONG
- RUFUS WAINWRIGHT(フル)
- THE JESUS AND MARY CHAIN
- RAYE(フル)
- CELEBRATION OF THE METERS
- KIM GORDON(フル)
- THE ALLMAN BETTS BAND(フル)
初日にはTHE KILLERS、土曜日にはBETH GIBBONSという、どうしても見たいライブがあったのに対し、日曜日は特定の目的がありませんでした。しかし結果的に、日曜日も素晴らしいライブが続く一日となりました。
実は、70代とは思えない魅力を見せつけたキム・ゴードンの後、THE ALLMAN BETTS BANDを諦めて混雑前に風呂へ行こうかと考えていました。しかし、痛む腰をなんとかごまかしながら向かったTHE ALLMAN BETTS BANDが大正解でした。アメリカ音楽界の奥深さを見せつけられる素晴らしいライブでした。
冷静に振り返ると、3日間を通しても、今年のフジロックで観たライブの中でTHE ALLMAN BETTS BANDがベストアクトだったと思います。1時間半があっという間に過ぎてしまいました。要所要所でThe Allman Brothers Bandのカバーをするという「反則技」を持つバンドですが、The Allman Brothers Bandのオリジナルメンバーの息子たちがやっているバンドですから、単なるカバーバンドじゃないんですよね。
アメリカンで泥臭い音ですが、これこそがフジロックに参加する理由だと感じさせる、至福の時間が続いたライブでした。
その他では、キム・ゴードンを観るためにCELEBRATION OF THE METERSを早めに切り上げてしまったことが心残りでした。
また、RAYEも華やかなステージを披露し、一人でじっくりと聴かせてくれたRUFUS WAINWRIGHTも素晴らしかったです。
まとめ
チケットは過去最高に高くなり、その割にはラインナップが地味という、どうにもモチベーションの上がりきらない状態で参加した2024年のフジロックでしたが、結果的に非常に満足度の高い年となりました。
天候って大事。会場が涼しいだけで、行った甲斐があったというものです。
また、2024年はFIELD OF HEAVENのラインナップが良かったですよね。
近年のFIELD OF HEAVENは、やや統一感に欠ける年が多かったのですが、2024年はジャズやファンク、そしてアメリカン・ロックなど、かつてFIELD OF HEAVENやオレンジコートに期待していたジャンルが充実していたと思います。一見地味なラインナップでも、奥のステージに行けば楽しめるという、少し前のフジロックの雰囲気が戻ってきたようで嬉しく感じました。この方向性は来年以降も継続してほしいものです。
あとは集客数の回復が課題だと思うのですが、どうしたら良いのでしょうね。
個人的には、誰に聞いても喜んでいない「ROUTE 17 Rock’n’Roll ORCHESTRA」を始めとする惰性的なラインナップを刷新して欲しいのと、もう少し「遊び」の要素を取り戻して欲しいかなぁ。などと、愚痴多めになりそうなのでこの辺りでやめておきます。
結局のところ、参加すれば楽しめるフジロックであることに変わりはなく、来年も無事に参加できるよう1年間頑張って過ごそうと思います。
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