奄美大島を訪れたのは、春の入り口、3月中旬。
この旅の目的は「探鳥」。特に見てみたかったのは「アカヒゲ」です。
昨年、東京で開催された「田中一村展」に影響されて、どうしても奄美大島周辺にだけ生息する野鳥たちを実際に見てみたくなったのです。
雨予報の3日間、果たしてアカヒゲとの出会いはあるのでしょうか。
奄美大島までの空の旅|天候に翻弄された移動
東京から奄美大島までは飛行機での移動です。
直行便もありますが、今回はホテル付きで4万円程度と比較的安いスカイマークのプランを利用することにしました。この場合、鹿児島空港での乗り継ぎが必要になります。
フライトは、羽田空港(7時20分発)→鹿児島空港(10時発)→奄美空港(11時着)という流れ。
あいにく当日は雨。鹿児島空港への着陸時には「揺れる可能性があります」との事前アナウンスがありましたが、想像以上に揺れました。やっと着陸すると思いきや、やり直すほどで、生きた心地がしませんでした。
なんとか鹿児島空港に到着したものの、遅延の影響ですぐに奄美行きの便へ。同じ機体でそのまま奄美大島へと向かいます(預けた荷物はそのままでOK)。 さらに出発前、「視界不良のため、鹿児島へ引き返すか、長崎空港への着陸となる可能性があります」とのアナウンスも。
もう一体どうなるのかとヒヤヒヤしましたが、奇跡的に奄美大島への到着時には雨が止んでおり、無事に到着。人生で初めて、飛行機に乗るのがちょっと怖くなった移動でした。
大雨の中、鶏飯で腹ごしらえ
奄美大島に到着し、予約していたレンタカーへ乗り込んで数分後、激しい雨が降ってきました。
出ました「豪雨予報」。もともと雨予報でしたので覚悟はしていましたが、ここまでとは。今日の探鳥は難しそうです。
仕方ないので、まずは昼食をとり、その後は田中一村美術館へ向かうことにします。
選んだのは、鶏飯・島料理「こころ」。本当は「鶏飯といえばここ」と紹介されていた別のお店に行く予定だったのですが、臨時休業のため、急遽こちらへ。結果的には大正解でした。
ふだん成城石井の鶏飯をよく食べているのですが、比べものにならないほど美味しい。「探鳥が目的なのに、まずは鶏飯か…」と一瞬だけ罪悪感を覚えたのですが、ひと口でそれも吹き飛びました。
聞きそびれてしまったけれど、このデザートも美味しかった。地元の名物だったりするのでしょうか?
お店の立地は食後に訪問するつもりの田中一村美術館まで車で4分程度の位置。旅の始まりに、美味しい食事と居心地のいい時間を過ごせたことで、今回の奄美大島旅行がうまくいきそうな気がしてきました。
雨の中、奄美自然観察の森へ
食後は予定通り田中一村美術館へ。東京で見た作品以外も含め、多くの作品が田中一村の人生をなぞるように展示されています。いつか訪れたいと思っていた美術館のひとつに、ようやく訪問できて良かったです。
田中一村美術館の訪問後も雨が降り続いていましたが、田中一村美術館に隣接する資料館を見学し終えたころでちょうど雨が止み、建物の外ではあちらこちらから鳥のさえずりが聞こえてきます。
「もしかして、今日も探鳥できるかもしれない…?」
そんな期待を胸に、とりあえず探鳥スポット「奄美自然観察の森」に向かってみることにします。
現地に到着したのは14時半ごろ。現地は晴天!という訳にはいかず、小雨が降っています。お世辞にも野鳥撮影に向いている条件ではありませんが、とりあえずどんな場所なのかを見ておきますか。
入り口付近では、聞き慣れない小鳥のさえずりがあちらこちらから響いています。少し進むと、
何かいる!
ルリカケスでした!
こんなにもあっさりとルリカケスに出会えるとは。
そしてさらに奥では、ご家族連れの方が何かを撮影している様子。話を聞いてみると「アカヒゲの雄がいますよ」とのこと。その場では残念ながら見つけられませんでしたが、すぐ近くにいるのは間違いなさそうです。
すると――オレンジがかった影が、森の暗がりにふわっと浮かび上がりました。
アカヒゲです!
比較的近くでさえずってくれました。入り口付近から聞こえていたのは、この鳥のさえずりだったようです。アカヒゲ、独特ですが、めちゃくちゃ良い声でさえずるんですね!
暗すぎてまともに撮影はできませんでしたが、初日から目的のアカヒゲと奄美大島と言えばのルリカケスに出会えてしまい、もう大満足。雨の中来て良かったです。
アカヒゲに夢中になっていたら、ヤマガラも姿を現しました。こちらは亜種「アマミヤマガラ」になるのでしょうか。普段見かけるヤマガラとは若干色が違います。
さて、「奄美自然観察の森」はこの後2日間訪問する予定ですので、長居せずに撤退しますか。天候も相変わらずイマイチだしね。
ホテルに向かう前に、大和村の海岸に少し立ち寄ったところ、そこでカワセミにも出会うことができました。奄美大島でもカワセミはそのままカワセミでしたが、どこで出会えても嬉しいものです。
夜は人気の「むちゃかな」へ|奄美の味と地元の雰囲気を楽しむ
宿泊したホテルは「ホテルウエストコート奄美Ⅱ」です。
部屋はややコンパクトですが、小綺麗で清潔感があり、全体としてとても快適でした。朝食も美味しく、ビジネスホテルとしては十分以上の満足感です。
チェックイン後少しだけ休憩して、夕食は事前に目星をつけていた「島の居酒屋むちゃかな」へ。ホテルからも徒歩圏内でアクセスしやすく、店内は数年前に改装されたそうで、とてもきれいな空間です。まだ早い時間に伺ったため運よく入れましたが、その後は次々とお客さんが訪れ、予約なしでは断られている方もいました。確実に行きたい方は予約しておくのが良さそうです。
いただいたのは、カンパチの腹身刺し、島らっきょ、鶏飯など。どれも丁寧に作られていて、とても美味しかったです。地元の料理と焼酎をじっくり楽しむことができ、人気店であることにも納得でした。
価格は全体的にやや高めで、都内の居酒屋とさほど変わらない印象。ただ、昨今の物価を考えればこのくらいが適正なのでしょう。味と雰囲気、満足感はしっかり得られました。
食後は少し街をぶらぶら歩き、スーパーでお土産やお菓子を調達してホテルへ。この日は朝4時起きだったこともあり、まだ8時台でしたが眠気に勝てず、早々に就寝することにしました。
ということで、話が長くなりそうなので今回はここまで。後半では2日目・3日目の探鳥のようすをお届けします。
後半はもう少しいろんな野鳥が登場しますので、ぜひ引き続きご覧いただけたら嬉しいです。