今回は高級コンパクトフィルムカメラ『CONTAX T2』についてお話しします。
フィルムカメラが再び注目を浴びるようになってから、もう10年以上が経ったでしょうか。現在のフィルムカメラ人気は、「写ルンです」や「チェキ」といった安価なカメラにとどまらず、かつての高級コンパクトカメラも再び人気を集めています。
特にCONTAX T2は、もはや「争奪戦」と言えるほどの人気ぶりで、価格も異常に高騰しています。一体なぜ、CONTAX T2が再び注目されているのでしょうか?(正確には後継機のT3はもっとすごい人気なのですが)
今回は、私が所有するCONTAX T2の思い出を交えながら、その現状に迫ります。
高騰したCONTAX T2の価格は当時の定価なみに
『CONTAX T2』は京セラが1990年に発売し、高級コンパクトカメラブームを牽引したと言われていた機種です。
CONTAX T2の定価は12万円。ボディにはチタンが使われ、ファインダーカバーグラスにはサファイアガラスが使われています。さらに、レリーズボタンにも人工多結晶サファイアが使われているというゴージャスな仕様が話題となっていた機種でした。当時はT2だけでなく、後継機のT3、そして渋いリコーのGR1SやGR21、ミノルタのtc-1なども人気でしたよね。
ただし、僕が入手した2000年頃には既にはすでにブームは下火となっていて、CONTAX T2も入手しやすい価格でした。(それでも中古で4万近くしましたのでそれなに覚悟のいる買い物ではあったのですが)
それが、現在のCONTAX T2は中古にもかかわらず定価なみか、それ以上の価格で取引されるようになっているのです。
以前はオークションの落札価格平均で9〜10万円前後。さらに、お店で購入する場合はもっと高く、状態の良いものだと20万円を超える価格をつけている店さえあります。
なぜCONTAX T2は高騰しているのか?
近年、フィルムカメラの再評価が進んでいる、ということは理解しているのですが、それにしても高すぎますよね。
CONTAX T2の価格がここまで高騰している理由をいくつか推測してみました。
海外での人気
CONTAX T2がここまで高騰している理由は、「需要があるから」としか言いようがありませんが、その中でも、CONTAX T2の人気が国内に留まらず、海外にも波及していることが一因と考えられます。
猛烈な円安の影響で、日本人にとっては考えられないほどの高額でも、海外の購入者にとっては割安感を感じる価格となってしまいます。この海外勢を含めたCONTAX T2の争奪戦が、CONTAX T2の価格が高騰する要因の一つとなっていると推測されます。
もともとの定価が12万円だったCONTAX T2が、現代でも定価以上の価格で取引されているなんて異常な気がしますが、それだけ現代でも魅力的なカメラであるという評価なのでしょう。
現在でも修理できる安心感
CONTAX T2の価格が高い原因の一つ、とまでは言い切れませんが、現在でも修理できるという安心感も高値で取引されている原因になっている可能性もありそうです。
残念ながら、CONTAXブランドのカメラを手がけていた京セラ社は2005年にカメラ事業から撤退し、2015年には補修サービスも終了しています。
CONTAX製品の補修サービス終了のお知らせお客様各位日頃より、弊社製品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。2005年に「CONTAXブランド」のカメラ事業終了後、CONTAXカメラ及び交換レンズの補修サービスを続けてまいりましたが、2015年4月30日の受付をもって補修サービスを終了させていただきました。長年のご愛顧に、心より感謝申し上げます。http://www.kyocera.co.jp/prdct/optical/index.html
しかし、京セラからコンタックスの修理サービスを全て継承してる会社が存在し、現在でもOCNTAX T2の修理を受け付けています。
電子部品が故障した場合どこまで修理できるのかは不明ですが、動きの悪いCONTAX製品を入手しても、修理できる可能性があるという安心感からCONTAX T2の価格が高くなっているのかもしれませんね。
リペアサービス諏訪
http://www.repairservice-suwa.com/ripeasabisu_zou_fang/toppupeji.html
電池(CR123A)や取説も入手可能
CONTAX T2の取説に関しても、検索すれば様々なサイトからダウンロードすることができます。
難しい操作は必要ありませんが、付属しない中古も多いので安心感がありますよね。
さらに、CONTAX T2の電池も入手可能です。『CONTAX T2』で使用する電池は、カメラ用の「CR123A」を1個です。
コンビニに売っているかは怪しいですが、ヨドバシやビックカメラなら問題なく購入できます。
写りの良さ
そして、当然のようにCONTAX T2の写りの良さも価格が高騰している原因であることは間違いないでしょう。
なんとも言いがたい空気感を切り取ってくれるカメラなんですよね。
なんてことを書きながら、白状してしまうと、T2を購入した際に満足してしまい、近所の散歩で撮影したフィルム2〜3本が終わると、その後は保管庫の肥やしとなってしまいました。コンタックスT2も、デジカメの利便性には勝てなかったのです。
そんな事情もあり、僕自身の作品はゼロです。申し訳ないので、コンタックスT2の作例をみることができるサイトをいくつかご紹介しておきます。
PHOTOHITO
先ずはおなじみPHOTOHITO
モノクロ写真が多めなのはいまいち好みではありませんが、『CONTAX T2』で撮影された作品を数多く見ることが可能です。
instagramもかっこいい写真多数。どこまでInstagramのフィルターが使用されているのか分かりませんが、雰囲気のある写真をみたいならばおすすめです。
https://www.instagram.com/explore/tags/contaxt2/
flickr
ついでにflickrも見ておきましょう。
個人的にはこの方(写真がアルバムにリンクしてます)が好きだなぁ。
reco
あとこの記事、若い頃読んだらT2を速攻で買ってしまいそうです。きっと若い皆さんはこんな写真を撮りたいんじゃないかしら。
写真家
日本の写真家では、奥山由之氏が作品の中でもCONTAX T2を利用されているそうです。
そして、海外の写真家もCONTAX T2を使用しています。マーク・ジェイコブスやシュプリームの広告写真を手がけたことで知られている写真家Terry Richardsonもその一人です。
まとめ
『CONTAX T2』が高騰している理由は、現在でもその魅力が色褪せていないから、なんて書くときれいにまとめすぎでしょうか。
実際は、『CONTAX T2』が世界的に少しリッチでおしゃれなファッションアイテムの一環として価値を認められた(認められ続けている)から、というところにある気がします。
実際に『CONTAX T2』をあらためて手に取ると、その質感の高さを再認識しました。カッコいいし、オシャレだと思います。そして写りも良いはず。
せっかく久しぶりに引っ張り出してきた『CONTAX T2』ですから、1度ぐらい電池を買ってお散歩カメラとして持ち歩いてみようかしら。
意外と僕も再び『CONTAX T2』にハマってしまうかもしれません。
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