外出の予定がなくなってしまったお盆の期間、友人のおかげで素晴らしいオーディオ機器を借りることができました。
借りた機器は、RME社のDAC「ADI-2 DAC FS」と、モニタースピーカーの代名詞ともいえるジェネレック社の小型スピーカー「G One」です。
これらの機器は、RME製品の開発製造販売元であるSynthaxが、「プロ録音スタジオの音をそのままお届けする」と謳っているセット販売商品で、相性は間違いなく抜群、きっと素敵な音に出会えるはずです。
素人目線ではありますが、両機材をレビューしたいと思います。
Genelec「G One」はデザインが魅力的なコンパクトスピーカー
先に外観や設置に関するお話から。
まず、G Oneの可愛らしいデザインが最高です。流線型のフォルムでデザインされたG Oneは、オブジェとして置いておきたくなるぐらい気に入ってしまいました。スピーカーとしては比較的珍しいホワイトが用意されている点も高ポイントです。(他にはブラックや無着色の『RAW』もあり)
可愛さと言えばG Oneのサイズに触れないわけにはいきません。G Oneは片手で簡単に持てるぐらいの大きさです。実はもっと大きなスピーカーをイメージしていましたので、この大きさには驚いてしまいました。
G One同様にADI-2 DAC FSも非常にコンパクト、デザインもドイツメーカーらしくシンプルです。
G OneとADI-2 DAC FSを組み合わせれば超省スペースで可愛らしいオーディオ環境の完成です。(もちろん、これに音源の再生機器が必要ですが)
都内の小さなマンション住まいの身としては、このデザインとサイズ感だけで欲しくなってしまいます。
G OneとADI-2 DAC FSはプロ機がベースだけど設定は簡単
G OneとADI-2 DAC FSは両方ともスタジオでプロが使用する機材がベースとなっています。
G Oneはスタジオモニタースピーカーを音楽鑑賞用に使いやすくしたスピーカーですし、ADI-2 DAC FSはプロ用のAD/DAコンバーターを元にホームユースとして誕生したDAC / ヘッドフォン・アンプです。
プロ機がベースになっていると聞くと使いこなしが難しそうな気がしていましたが、特に気にする必要はありませんでした。
G Oneの入力はRCAケーブル1系統のみ。ADI-2 DAC FSから左右に接続すれば良いだけです。(RCAケーブルは真上に押す仕様なので固いケーブルは使いにくそう)
注意点は、G Oneは本体にアンプを内蔵したアクティブスピーカーなので左右ともに電源ケーブルが必要ということぐらいでしょうか。
スピーカーの下部には専用スタンドがついていて、スライドすることで簡単にスピーカー本体の角度を調整できる仕組みになっています。(これが思いの外便利)
一方、ADI-2 DAC FSは確かにいろんな機能が付いていて完璧に使いこなすのは難しそうです。
操作方法の動画をみても覚えられる気がしません。
しかし、とりあえず音を出すだけであれば全く難しいことはありませんでした。
僕の環境では、macとADI-2 DAC FSをUSBケーブルで接続し、ADI-2 DAC FSの出力からRCAケーブルを使いG Oneへ接続するだけです。macならドライバーのインストールも必要なく、あっさり認識しました。しかもリモコンも付いていて、スタンバイのオンオフ、音量の調整、入力切り替え等が簡単に行えます。
高解像度で極めて自然なサウンド
さて、ここからはG OneとADI-2 DAC FSの組み合わせで試聴した感想です。(音源はAmazon Music HDを利用)
僕のモニタースピーカーに対する印象は「解像度が高く細かい音まで聞き取れるけれど、長時間聴くと疲れてしまうので音楽鑑賞用には向かない」というものでした。
実際にヤマハのNS-10Mというモニタースピーカーを使っていた時期もありましたが、やはり長時間音楽を聴く気にはなれず、結局友人に譲ってしまった事があります。
そんな経験もあり、G OneとADI-2 DAC FSの組み合わせ、特にモニタースピーカーがベースとなっているG Oneの音は音楽鑑賞用には向かないのではないかと危惧していましたが、実際には全く違いました。
G Oneから出てくる音は極めて自然で聴きやすく、長時間聴いていても疲れるようなことがありません。しかも、モニタースピーカーらしい面も持ち合わせていて、きとんと向き合えば楽曲に含まれる細かい音もしっかりと聴き分けられるぐらい高解像度です。
G Oneの小ささから低音に関しては全く期待していませんでしたが、低音も十分に出ます。もちろん部屋中が揺れるような低音ではないのですが、どんな曲を聴いても低音不足でバランスの悪さを感じるようなことはありませんでした。
ADI-2 DAC FSを加えると解像度と透明感が増し、立体感が生まれる
この高解像度で自然な音に対するADI-2 DAC FSの貢献はかなりのものです。
試しにADI-2 DAC FSの有りなしでテストしましたが、ADI-2 DAC FSを加えると解像度と透明感がさらに増し、音に立体感が生まれました。逆にADI-2 DAC FSを使わないG Oneが少し荒々しく整理されていない音に聴こえてしまいます。
もちろんG Oneだけでも十分に高解像度な音が出てくるのですが、ADI-2 DAC FSを通した音を一度経験してしまうと、もうADI-2 DAC FS無しには戻れそうにありません。
小音量でもバランスが崩れないので一日中音楽を楽しめる
高解像度で自然な音を得られるG OneとADI-2 DAC FSの組み合わせですが、一番気に入ったポイントは小音量でもその良さが失われない点です。
G OneとADI-2 DAC FSのセットは、ボリュームを上げても下げても同じようなバランスで鳴るので、思い切りボリュームを下げた状態でも曲をしっかり楽しむことができるのです。
ボリュームを上げることで音の良さを実感できるスピーカーは我が家にもありますが、夜になると近所迷惑を気にして音楽を聴くことを遠慮してしまいがちです。その点、G OneとADI-2 DAC FSのセットであれば、近所に配慮しつつ夜でも音楽を楽しむことができます。
ヘッドホンを使わずに夜でも音楽が聴ける環境って、かなり素敵じゃないですか?
Amazon Music HDとSpotifyの違いも分かりまくり
先日、『Amazon Music HDの高音質は本当に実感できる?』という検証記事を書きました。
結果として、僕にはSpotifyとの違いが全く分からなかったのですが、G OneとADI-2 DAC FSのセットを使って再度検証してみたところ、両サービスの音質には全く違いがあることが分かりました。
やはり高解像度なスピーカーとDACを使うと印象が違いますね。
Amazon Music HDを使って高音質な音源を楽しみたい方にも、G OneとADI-2 DAC FSのセットは素晴らしくおすすめできそうです。
コンパクトかつ高音質に音楽を楽しみたいならピッタリなセット
以上、びっくりするほど浅くて簡単ですがG OneとADI-2 DAC FSのレビューでした。
高解像度でナチュラルなG OneとADI-2 DAC FSの音を経験してしまうと、手持ちのオーディオセットでは聞き取れない音がいくつもあることに気が付かされ、満足できなくなってしまいました。
良いですよ、このセット。音質には拘りつつオーディオ機器をコンパクトにしたい方にはピッタリだと思います。
最後に、いくつか気になる点も書いておきます。
G One×ADI-2 DAC FSの気になる点
もうワンサイズ大きいG Twoが気になってくるかも
G Oneの大きさは非常に魅力的ですが、一度音の良さを知ってしまうと、ワンサイズ大きなG Twoも経験してみたくなります。G Oneにスケール感がプラスされたら、きっと素敵なスピーカーになると思うのです。
G Oneはコンセントの確保が面倒
アクティブスピーカーなのでコンセントの件は諦めるしかありませんが、設置場所に制約が生じるのは確かですね。
G Oneの本体にボリュームが無いので再生時注意(何回か爆音を出しかけました)
本体にボリュームがなくても、ADI-2 DAC FSがあればセットで使うことでボリューム調整が可能ですが、直接Macに接続する際には苦労しました。(半分ぐらいはAmazon Music HDの使い勝手が悪いせいです。)
なんだかんだで結構高い
一番のネックは、セットで20万円以上する価格です。
高級機器だらけなオーディオ業界では「リーズナブルな機器」と言えるかもしれませんが、普通の感覚では全然安く感じません。
我が家の場合、最近使っていない機材を整理して買えるかもしれませんが、それでも気軽に買える値段ではないですよね。
いずれにしても、予算確保はそう簡単にはいかなそうですので、もう少し悩んでみようと思います。
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