昨日からスタートしたアマゾンの音楽聞き放題サービス『amazon music unlimited』。30日間のお試し期間が設けられていることもあり、早速使いはじめてみました。
僕は邦楽やアニメソングに疎いため、自身の興味のある90年代以降の洋楽以外の検証はしていませんが、『amazon music unlimited』は洋楽好きにおすすめのサービスなのか?という観点で、使ってみた感想や、競合となる「Apple Music」や「Spotify」との比較をお届けいたします。
Amazon Music Unlimitedとは
今回スタートした「Amazon Music Unlimited」は有料の音楽聴き放題できるサービスです。
特徴を簡単にまとめるとこんな感じです。
- 曲数は4,000万曲以上
- 広告なし
- 楽曲はモバイル端末にダウンロード可能
- 利用料金は月額1,080円(※Amazonプライム会員は月額880円)
「Amazon Music Unlimited」をPCで聴く場合、ブラウザだけでなく専用アプリ(mac版もあり)も用意されています。
もちろんスマートフォンやタブレットでも利用できますし、遂に発売となるAmazon EchoなどのAlexa対応機器でも音楽を聴くことが可能です。
Amazon Music Unlimitedの楽曲数について
上記したように「Amazon Music Unlimited」では4000万曲以上の音楽を聴くことが可能です。
この4000万曲という楽曲数は、世界最大手のSpotifyと同程度、AppleMusicの3000万曲を上回る楽曲数ですので、かなり頑張っている曲数だと言えると思います。
ただし、この楽曲数の多さと、本当に聴きたい曲が用意されているのか?という事とはまた別の話になりますので以降で検証してみたいと思います。
Amazon Music Unlimited:4000万曲以上
Spotify:約4000万曲
AppleMusic:約3000万曲
洋楽好きにとってAmazon Music Unlimitedは使えるサービスなのかを検証
「Amazon Music Unlimited」が洋楽好きにとって使えるサービスなのかを検証するために、現在僕が利用しているAppleMusicとSpotifyとの比較をしてみました。
条件を記載しておくと、Amazon Music UnlimitedとAppleMusicは有料版、SpotifyはUSアカウントの無料版を利用しています。
視聴はMac版のアプリを利用しました。
「Amazon Music Unlimited」には一部アーティストでアルバム欠けあり
「洋楽で検証する」と言っても、あまりにも幅が広すぎますので、今回は先日書いた記事を利用し、11月以降に来日する洋楽アーティストの楽曲を聴くことができるのかを検証してみました。
関連:見逃せない洋楽ライブ多すぎ!2017年11月以降の来日情報をまとめてみましたよ
検証したのは計26アーティスト。来日公演が行なわれるぐらいですので比較的洋楽の中でもメジャーな方が多く、個人的にはこのくらいであれば全てカバーして欲しいところです。
で、結果がこちら。
アーティスト | Amazon Music Unlimited | AppleMusic | Spotify |
ジェフ・ミルズ | 一部楽曲のみ | 一部楽曲のみ | 一部楽曲のみ |
テリー・ライリー | ○ | ○ | ○ |
フアナ・モリーナ | ○ | ○ | ○ |
Asgeir | 最新アルバムなし | ○ | ○ |
MUSE | ○ | ○ | ○ |
Yumi Zouma | ○ | ○ | ○ |
Feist | ○ | ○ | ○ |
Mild High Club | ○ | ○ | ○ |
Alt-J | ○ | ○ | ○ |
Massive Attack | ○ | ○ | ○ |
THE SHINS | ○ | ○ | ○ |
FLUME | ○ | ○ | ○ |
SLOWDIVE | 最新アルバムなし | ○ | ○ |
FUTURE ISLANDS | ○ | ○ | ○ |
ROBERT GLASPER TRIO | ○ | ○ | ○ |
Mura Masa | ○ | ○ | ○ |
FOSTER THE PEOPLE | ○ | ○ | ○ |
FLEET FOXES | ○ | ○ | ○ |
Mac DeMarco | ○ | ○ | ○ |
FRANZ FERDINAND | ○ | ○ | ○ |
JULIEN BAKER | ○ | ○ | ○ |
THE INTERNET | ○ | ○ | ○ |
The xx | ファーストアルバムなし | ○ | ○ |
Bonobo | ○ | ○ | ○ |
Father John Misty | ○ | ○ | ○ |
RIDE | ○ | ○ | ○ |
3サービス共に全てのアーティストの全アルバムを調べた訳ではありませんが、少なくとも『Amazon Music Unlimited』にはSLOWDIVEやAsgeirの最新アルバムは用意されていませんし、The xxの傑作ファーストアルバムも配信されていませんでした。
関連情報の精度は及第点
音楽を聴き放題できるサービスのメリットして、自分の好きなアーティストの関連情報を通じて新たな音楽に出会えることがあると思っています。
「Amazon Music Unlimited」を使ってみたところ、AppleMusicやSpotifyと較べても遜色ない精度で関連情報が表示されていました。
「Amazon Music Unlimited」の関連情報で表示されるのは「関連のあるプレイリスト」と「関連アーティスト」。
試しに僕の好きなバンド「Wilco」で検索した結果、表示される関連情報はこんな感じです。
ちなみに、AppleMusicの場合は「同じタイプのアーティスト」と「影響を与えたアーティスト」、Spotifyの場合は「関連アーティスト」と「コンサート情報」「プレイリスト」「リスナーの所在地」「関連グッズ」「参加作品」と、非常に多くの情報が提供されています。
「Amazon Music Unlimited」の音質は?
「Amazon Music Unlimited」は最大256kbpsで配信されています。この音質はSpotifyの有料版よりは劣るものの、AppleMusicと同等であり、高音質に拘らない方であれば問題のない音質と言えると思います。
ヘッドホンを使って聞き聴き比べてみましたが特に気になるような問題点はありませんでした。
Amazon Music Unlimitedの特に気になる点
「Amazon Music Unlimited」を使ってみて、短い期間ながらもすでに何点かきになるところがでてきました。
「Amazon Music Unlimited」の「人気の楽曲」はかなりの独自路線
一つ目は、「人気の楽曲」のセレクトがかなり独自路線だということです。
「Amazon Music Unlimited」とAppleMusic、そしてSpotifyの「人気の楽曲」を比べた場合、1番目に提案される曲は全く違います。
たとえば、すっかり大物バンドとなってきた「The xx」を例にご紹介しましょう。
AppleMusicで1番目に紹介される楽曲は「On Hold」。新しいアルバムで人気の曲ですので何の違和感もありません。
続いてSpotify。「intro」は「The xx」の代表曲ですのでこちらも納得です。
最後に「Amazon Music Unlimited」。
「Tides」が悪い曲だとは全く思いませんが、「The xx」の代表曲という訳でもありませんし、初めて「The xx」を聴く方をあっという間に虜にするような楽曲だとも思えません。
この傾向は「The xx」だけの話ではなく、「FOSTER THE PEOPLE」の場合も代表曲「pumped up kicks」は1位じゃありませんし、「FRANZ FERDINAND」の「take me out」は20位以内にも入っていません。
「Amazon Music Unlimited」の人気曲が他のサービスとは全く異なってしまう原因が、利用者が少ない故のサンプル数不足なのか、はたまた利用者がマイナー曲好きの集まりなのは知る由もありませんが、初めて知ったアーティストの人気曲を数曲聴いてからもっと深掘りするかどうかを判断することの多い僕のような使い方だとかなり使いにくさを感じてしまいました。
「Amazon Music Unlimited」のプレイリストがイケてない
音楽聴き放題サービスの楽しみのひとつとして、「プレイリスト」があります。
自分の持ち曲以外を聴きたい時や、シーンに合わせた他人任せのセンスの良い曲を聴きたいときに重宝する「プレイリスト」ですが、残念ながら「Amazon Music Unlimited」の「プレイリスト」はいまいちぱっとしない印象です。
僕は先に提供されていたアマゾン「PrimeMusic」のラインナップをブックオフの100円コーナーに似ているなぁと思っていましたが、「Amazon Music Unlimited」の「プレイリスト」はブックオフの100円コーナーからピックアップした楽曲に少しだけ1000円以上のCDを加えたぐらいのものばかりです。(分かりにくくてすいません)
「Amazon Music Unlimited」の「プレイリスト」がどのようにして作られているのかは知りませんが、個人的には今のままならば「Amazon Music Unlimited」の「プレイリスト」をお金を払ってまで聴きたいとは思えません。
まとめ:洋楽好きなら「Amazon Music Unlimited」以外のサービスがベター?
洋楽好きの「Amazon Music Unlimited」ファーストインプレッションは少々厳しいものとなってしまいました。
残念ながら同じ料金(1000円前後)を払うのであれば、現状SpotifyかAppleMusicを選んだ方が無難です。「Amazon Music Unlimited」の方が他の2サービスと比べて優れている点を見つけることができませんでした。
ただし、「Amazon Music Unlimited」は始まったばかりのサービスですので、僕が価値を感じていない「プレイリスト」や、楽曲欠けの部分は改善される可能性は多いにあります。実際、同じくスタート時はかなりイマイチだったアマゾンプライムビデオはいまやハイコストパフォーマンスの動画配信サービスとして他社サービスを脅かす存在となっており、「Amazon Music Unlimited」も同様の進化をする可能性があると思うのです。
あと、もしかしたら「Amazon Music Unlimited」の存在価値はスマートスピーカー「Amazon Echo」あってこそのものなのかもしれません。
「Amazon Echo」を利用すれば「Echoプラン」として380円で利用できてしまいますので、価格的にもSpotifyやAppleMusicとは比較になりませんし、スマートスピーカーを使った、いまだ僕らが経験したことの音楽体験をすることができるのです。
最後にあらためて断っておきますと、今回の検証はあくまでも「90年代以降の洋楽好き目線」のものですので、もう少し昔の洋楽や、邦楽、アニメソング好きの方はぜひご自身の目で確認してみて下さい。提供楽曲数の多さからすると、他社サービスに比べて恐ろしく充実している可能性はありそうです。
何れにせよ、「Amazon Music Unlimited」には1ヶ月もの無料お試し期間が設けられていますのでとりあえずご自身の使い方や好みに合うかを確認してみてはいかがでしょうか。
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